九州部会活動報告(2026/3/1開催)
九州部会では、2026年3月1日に日本アートマネジメント学会九州部会との連携による研究発表会を九州大学大橋キャンパスにて開催した。参加者は14名であった。当日のプログラムは次のとおりである(敬称略)。なお、両部会の連携による研究発表会は、今回で10回目の開催となる。
開会の挨拶:西島博樹(中村学園大学)
座長 岩本洋一(久留米大学)
①RIEWPAIBOON Siree(九州大学大学院芸術工学府博士課程)
「クリエイティブ・エイジングにおける「そのあいだ」の空間 -高齢化社会に向けたアート・プロジェクトにおける関係的ネットワークの追跡」
②小越友也(宜野座村文化センター プロデューサー)
「劇場発信型事業の実践、その制作と展開について〜ドキュメンタリー映画『ウムイ 芸能の村』の事例より〜」
③岡田秀子(むすんでひらいて音楽事務所 代表)
「社会的ハンディを持つ演奏家・実践者の表現の場づくりマネジメント-左手のピアニストの場合 その2 左手ピアノとのアンサンブルに関する考察を中心に」
④中西美穂(立命館大学特別研究員、成安造形大学特別講師)
「歴史的都市と現代アート-大阪市・平野の1990年代」
閉会の挨拶:長津結一郎(九州大学)
①報告者のRIEWPAIBOON Siree氏は、エイジングを社会の複数の成員に影響を及ぼす「関係的なプロセス」と捉え直し、ブルーノ・ラトゥールのアクター・ネットワーク理論を用いて、アート・プロジェクトがその実施現場にとどまらず、特に周辺コミュニティにおける関係性の再編を通じて、いかに変化を⽣み出すのかについて考察した。
②報告者の小越友也氏は、コロナ禍で公演実施が困難となる中、宜野座村文化センターがらまんホールが取り組んだドキュメンタリー映画『ウムイ 芸能の村』の事例について報告し、地域劇場が主体となって企画・制作・発信を行う劇場発信型事業の可能性と、今後のアートマネジメントにおける展望について考察した。
③報告者の岡田秀子氏は、社会的・教育的なマネジメントの意義も有している左手ピアノ演奏とのアンサンブル作品に焦点を当て、ワンハンド作品の作曲家5人の見解をもとに、ワンハンドピアノとのアンサンブル作品の特徴等について考察した。
④報告者の中西美穂氏は、1990年代に大阪市平野区で行われた現代アートのフェスティバル「モダンde平野」及び「ARTPACKING in HIRANO」について報告した。これらのフェスティバルではアーティスト主導の野外展示運営が行われ、それをきっかけに国際的な活躍に至ったアーティストもいる。一方で、住民とアーティストの間に軋轢があったとの記事も残っており、地域とアートの関係として現代に通じる課題があったと結論づけた。
バラエティに富んだ研究発表で、新たな知見に出会える有意義な研究発表会であった。また、研究発表会終了後は、日本アートマネジメント学会九州部会設立25周年シンポジウム「九州から考える、これからの文化支援──アーツカウンシルという視点」が開催された。
久留米大学
岩本 洋一

